2002年4月から放送が始まった『大改造!!劇的ビフォーアフター』(朝日放送テレビ)。
建物の老朽化や家族の事情の変化などで、住みやすいようにリフォームしたいという依頼主の希望を、匠と呼ばれる建築士や大工が叶えてくれるという人気番組です。
しかし、これまでの番組の歴史の中には、視聴者から「これは失敗では?」と言われてしまうようなものや、実際に裁判沙汰になってしまうような施工例もありました。
今回は、そのような失敗例・裁判例をご紹介していきます。
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劇的ビフォーアフターの失敗例は?
今からご紹介するものは、裁判沙汰とまではいかないものの、視聴者から「失敗では?」という声が多く上がったものです。
台所でシャワーを浴びる家
2013年6月9日(現場検証編)、2014年1月19日・1月26日(完結編)放送の回。
パリにある築153年の狭小アパートが舞台です。40平方メートルというスペースに家族5人が暮らしており、様々な問題点がありました。
- 老朽化のために腐食で穴が開き、室内に隙間風が入り込む
- 過去の住人の無理なリフォームで壁に大きな亀裂
- 洗面台のようなキッチンのすぐそばに小さな浴槽
- ゴルフボールが転がるほど建物が傾斜
現場がパリであり思うように材料が集まらないことや、日本とは違う建築構造であるため、工事はかなり難航したのではないかと思われますが、このリフォームで一番「失敗」と言われたのが、リビングに置かれた大きすぎるソファーでした。
かなり大きく主張が強すぎるソファーですね!背もたれと壁の間にもほとんど隙間もありませんし、掃除もしにくそう…。
これには依頼主も苦笑いだったとか。
雨水に浮かぶ家
2013年4月28日放送の回。
こちらの家が抱える問題点は以下のようなものでした。
- 隣家の地面より1m20cmも低いところに建っている
- 周囲より低いため、雨水がどんどん流れ込む
- 生活動線を考えられた間取りではない
このリフォームで問題視されたのは娘さんの部屋でした。
カフェのような雰囲気をとの希望を叶えるため、娘さんの部屋のクローゼットの扉の上に、モザイクタイルで「CAFEBOW」の文字が…。
【TV】なんということでしょう!『大改造!!劇的ビフォーアフター』 リフォーム300軒目に…所ジョージ「正直こんなに長続きするとは」 https://t.co/B9Ba122Jko pic.twitter.com/z0WHOoN5hm
— (・ε・) (@puppuku) June 13, 2016
BOWというのは「弓」という意味で、娘さんのお名前である「真弓」さんからとったらしいのですが、なぜクローゼットに???
娘さんも何とも言えない表情をされていました(笑)
不釣りあいな庭
2009年8月9日放送の回。
こちらの家が抱えていた問題は以下のものです。
- 老朽化で今にも崩れそうなブロック塀
- 広さは十分だが草木が生い茂り、リフォームしたばかりの家と不釣りあいな庭
- 軒下の水はけが悪く雨が降るとぬかるみに
このように、匠は庭に山のようなものを作り「見晴らしの丘」と名付けたのですが、実はこの丘、がれきや廃材を集め、土をかぶせ芝生をはっているんです!
庭のリフォーム予算は150万円。
こんな大金をかけてゴミの山って…。気分も良くないし、将来的にゴミが崩れたり、露出してきたりしないか心配ですよね…。
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裁判やクレームになったケースは?
ビフォーアフターでは、実際に裁判になってしまったケースもあります。
【アキレス腱を切る家】
こちらは2009年11月1日に放送された回。
傾斜地に立つ2軒の家をリフォームで無理やりつないだ、築48年のこの家が抱える問題点は、以下のようなものでした。
- 2軒の家をつないだため、家の中に合わせて110cm以上の段差がある
- その段差で奥さんがアキレス腱を切ったこともある
- 2階には、その家の中でも最大である70cmの段差がある
- 車庫が狭すぎて軽自動車を停めるのも至難の業
- 家の中で一番明るい南側の部屋が交通量の多い道路に面していて、騒音と埃で使用できない
この家のために立ち上がったのが「空間方程式の芸術家」といわれる匠・滝澤俊之氏です。
奥様の母国であるマレーシアのタイルや布をポイントに使うことで、奥様が母国のことを思い出せるような空間を演出。
また、仲の良い家族が楽しみながら生活できるような、遊び心あふれる仕掛けのある家に仕上げました。
ここで問題となったのは、施主さんが一番気にしていた「段差」。
なんと、奥様がアキレス腱を切ってしまった70cmもの段差を匠が「子供を楽しませるスペース」として、あえて残したのです!
依頼者の一番の悩みは「段差」だったはずなのに、形が変わったとはいえ、段差がそのまま残っていたのでは何のために依頼したのか分かりませんよね。
他にも、
- 外壁の色が1階と2階で違う
- 2階部分が狭く暗くなってしまった
- 1階部分が以前より寒くなってしまった
などの問題点も。
この仕上がりに疑問を持った依頼者は、番組制作サイドに訴えましたが取り合ってもらえず、欠陥住宅に詳しい人物に鑑定を依頼。すると、
「リフォーム前より品質が悪くなっている。基礎、耐力壁、断熱、防火など、あらゆる箇所で瑕疵が見られる」との鑑定結果が!
2,100万円もの大金を支払ってこの結果では、依頼者の怒りは収まるはずもなく、番組を相手取って裁判を起こすことになりました。
この裁判は公開されておらず、2016年の時点ではまだ裁判が続いていたという情報がありましたが、定かではありませんし、現在どのような状況になっているかもわかりませんでした。
せめて依頼者のご家族が、現在心穏やかに過ごされていれば良いのですが…。
【孫がハイハイできない家】
2014 7 27放送分 「孫がハイハイできない家」 pic.twitter.com/BqpZYH7wk0
— 中年球児2号 (@ing_plan_com) July 26, 2016
こちらは2014年7月27日に放送された回。
もともとは1階部分が喫茶店だった2階建ての住居で、こちらの家が抱えていた問題点は以下のようなものでした。
- 喫茶店だった1階部分は土間のため、土足で生活している
- 1階部分で孫がハイハイできない
- 屋外にスペースがないため、バイクや自転車をその1階部分に入れる
- 階段の傾斜が急で、頭を打つような部分もある
- お風呂が狭すぎる上、脱衣所の扉は腐食のため閉まりきらない
- 建物自体が老朽化していて強度に問題がある
などなど、他にもたくさんの不安がある家でした。
そこで「価値ある素材の目利き」と評される匠・浅井裕雄一氏が、喫茶店時代に使用されていたキッチンのものを再利用したりして、2世帯家族がゆったりと生活できる空間を作り上げました。
ここで問題となったのは「工事にかかった費用」でした。
当初の改修費として提示されていたのは、2,200万円。しかし、制作会社や建築士側から施工会社に追加工事が指示され、なんと2,700万円もの追加工賃が発生してしまったのです!
施工会社と制作会社が取り交わしていた覚書によれば、「予算を超える恐れが生じた場合には、制作会社と話し合う」とあったのですが、協議されることが無く、工賃も支払われなかったため、施工会社が朝日放送及び制作会社に対し、追加工費を含めて2,900万円を求めて提訴となりました。
対する朝日放送側は「建築会社の現場管理に問題があった」とし、「金額の根拠にも疑義がある」などと反論していました。
この裁判は、後に「和解」となりましたが、和解の内容は公表されていません。
『劇的ビフォーアフター』終了にファン「なんということでしょう!」 | しらべぇhttps://t.co/VpDJViO4OW @sirabee_news #劇的ビフォーアフター #所ジョージ #なんということでしょう pic.twitter.com/Jt3NI4IABA
— Sirabee/しらべぇ【公式】 (@sirabee_news) November 25, 2016
大切な家族と、これからも快適に長く住みたいという思いを叶えてくれる番組『大改造‼劇的ビフォーアフター』ですが、依頼主と匠ら番組側との間で行われるべき打ち合わせが綿密なものではなかったことが、問題が起きる大きな原因だったようです。
完成した家に依頼主が入り「なんということでしょう」と言わんばかりに驚く表情を撮りたいということなのでしょうが…。
これから家を建てたりリフォームしたりする計画がある方は、建築士や施工会社にお任せせずに、微に入り細に入り、自分たちが納得するまでとことん突き詰めた打ち合わせをした方が良いでしょう。
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